ジャガイモのお話~後編~
- バク
- 2017年3月7日
- 読了時間: 6分
おまたせしました。
ジャガイモのお話後編です。今回は予告通り、ジャガイモの品種のお話と実際の植え付けを写真で追っていきたいと思います。
さて、まず今回僕が育てる5品種を紹介します。まず、定番の男爵芋、メークイン、そしてキタアカリです。

キタアカリは男爵の改良品種で、男爵よりうまみ成分が多くなっています。
色々な人と話していて、面白かったのが、男爵芋とキタアカリのどっちが好きかという問題です。
僕が聴いたところでは男女できっちりと好みが分かれる結果になりました。男性はキタアカリ、女性は男爵芋が好きだそうです。10人くらいの口頭アンケートなので偶然かもしれません。

次にアンデスレッドという赤い皮のジャガイモです。
大きな芋がたくさん取れて、味も男爵系統でとてもおいしいジャガイモというネットの記事にひかれて選びました。
芋掘りを子ども達にさせるときに、一番インパクトがあって喜んでくれるのではという下心もあります。
欠点は保存性があまり良くないこと。すぐ芽が出て食べられなくなるそうです。
そしてもうひと品種、下の写真の左上の箱に入っているのが「インカのひとみ」という品種です。(単体で撮った写真を紛失しました。ごめんなさい。)
インカのひとみは、サツマイモのように甘くて美味しいと評判になったインカのめざめの改良品種です。味をそのままにインカのめざめより収穫量、芋の大きさが良くなっているそうです。(種イモが小さいのには理由があります。それは切り分けの際に解説します。)
インカ系のジャガイモも保存性が悪くあまり出回りません。
そういった品種を育てることができるのも家庭菜園のいいところですよね。
次に芽出しのお話です。

芽出しと言ったり、浴光催芽(よっこうさいが)と言ったりします。
ジャガイモは収穫後、休眠状態に入り一定期間は芽が出ないのですが、少し暖かくなって、10度~20度で発芽します。人が生活するところ、例えばリビングなどに置いておくと2週間ほどで上の写真のようになります。
ポイントは浴光と名前のある通り光が当たるところで芽出しをするという点です。芋の温度が上がりすぎるので直射日光はだめです。

上の写真では光の当たらないところで芽出しを行ったせいで、モヤシみたいな芽が出てしまっています。触るとぐらぐらで今でも取れそうでした。
でも大丈夫、日が当たる北側の窓に場所を移し、1週間後には下の写真のように芽が緑化しました。触り心地も少し丈夫になった気がします。

芽出しの必要性については実は賛否両論、メリットデメリットがあります。
芽出しをした方が発芽が早まり、初期生育が良好になるという意見や、早く芽が出すぎて朝霜で枯れるリスクが上がるといった意見もあります。 植え付け時に芽が折れて発芽が遅れるリスクがあるといったデメリットもあります。
メリットの一つに徒長した芽を選別できるという点があります。

左のモヤシみたいな芽をとってしまいます。

これで育てたい芽の方に栄養が流れます。
ただ、ジャガイモの目は折ってもまた生えてくる場合が多いようです。
必要な芽を折ってしまったからとそのジャガイモがもう使えないわけではないので、慎重かつ大胆に芽を折りましょう。

だいたい一つのジャガイモから3つほど太くて丈夫そうな目が出ていたら、それ以外はすべて折ってしまいます。
芽出しの目標は1cm~2cmです。伸びすぎたからといって特に問題はないようです。ただ植え付け時に霜対策として土が被ることが条件です。伸びすぎて土から飛び出してしまうものは折りましょう。
次に種イモの節約について。

このジャガイモにモデルとなってもらいます。
左側のへこんでいる部分がヘソ(ストロン)で親イモから茎で繋がっていた部分です。ここに発芽を抑制する物質があるので、発芽しない場合はここを切り落としてしまうのもいいかもしれません。
よく、種イモを半分に切って植えろと教えられます。
実はこれ、種イモの節約のためなのです。切らなくてもしっかりジャガイモはできるのです。

このジャガイモはさっきのモデルのジャガイモをひっくり返した状態です。
ポイントは二つ。ヘソから頭にかけて切ることと、芽の数を出来る限り同じにすることです。

メークインは分かりやすいですね。下の写真のように切ります。

切ったジャガイモは、切らずに植えたジャガイモの8割ぐらいの収穫量になるそうです。種イモが2つになるので1.6倍になると言うわけです。
切り方を間違えて頭とヘソに切るとどうなるのでしょうか。雑誌やさい畑2017年春準備号にに実験した記事が載っていました。
頭もヘソもまるまる植えた場合の6割ぐらいだそうです。
左が男爵芋、右がキタアカリです。

この二つの品種は外見では少し分かりにくいですが、切ると一目瞭然です。
上、メークイン
中、アンデスレッド
下、インカのひとみ

アンデスレッドは赤色成分のアントシアニンが芋の内部にも影響して赤いラインができることもあるそうです。腐っているわけではありません。
よく断面に灰を付けて植えるという指導がありますが、植えるまでに時間がある場合は3、4日おいておけば大丈夫です。
次に連続写真で切った後の変化を見てみましょう。

切り分け1日目

切り分け3日目
この段階で植え付けても問題ないそうです。

切り分け6日目

アンデスレッド切り分け6日目です。
この現象をキュアリングといいます。コルク化と表現したりもします。
17日目です。6日目とほとんど変わりありません。

下の写真はインカのひとみです。

インカのひとみだけ6日目に真ん中からジワリと蜜が出てきてその周りにカビが現れました。
これはキュアリング失敗です。インカのひとみの種イモが小粒なのはどうやらここら辺に理由がありそうです。
17日目です。完全にカビています。

芽出し、キュアリンができたら、ようやく植えどきです。

ジャガイモのお話前編でも書いたように深植えにします。深さはだいたい20㎝ほどで、写真のように筋を掘って植えます。
穴を掘って植えると、そこだけ周りより土が柔らかく水が集まりやすくなってジャガイモが腐りやすくなります。できれば深植えの時は筋を作って植えましょう。
畝幅は70センチぐらいで30センチ以上の高畝です。植え付けの間隔は30cmです。

畝ごとに特徴を変えてみました。奥から1番とします。
1番、心土破砕してもみ殻を鋤きこんだ畝
2番、心土破砕してもみ殻を鋤き込み、植え込みの時にボカシ肥料を株間に置いた畝
3番、何もしていない畝
4番、もみ殻を鋤き込んで、植え込みの時にボカシ堆肥を株間に置いた畝
5番、もみ殻を鋤きこんだ畝
結果は梅雨前、収穫のお楽しみです。
植え方も5品種を2株ずつ植えました。手前からキタアカリ、男爵、メークイン、アンデスレッド、インカのひとみの順です。
最後にパイプや角材で畝を成型してから

マルチングを行い完了です。

黒マルチのやり方ですが、まず周囲に軽く溝を掘ります。

竹に引っ掛けて少し伸ばします。この後、両端を固定具で止めます。

畝の上を転がして端まで来ました。

分かりずらいですが、あらかじめ掘った溝に黒マルチの裾を埋めていきます。
固定具は畝の真ん中あたりにもさします。固定具は1.5~2メートル間隔で差し込みます。

そして完成です。

植え付けは2月26日
芽は一日に1cmぐらい伸びるそうなので、発芽までは約20日
桜が咲くころに発芽することが一番適した時期だそうです。あくまでも目安ぐらいで考えておいた方がいいとは思います。
ジャガイモのお話はいかがだったでしょうか。参考にしていただければ幸いです。
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